-追うもの&追われるもの-
KEY
僕が好きなことはいろんなところを「探検」すること。
特に、気候が比較的暖かいところを探検するのが好きである。
数多くいると言われている僕らの仲間だが、僕が仲間たちに会うことは少ない。
もしかしたら、思ったよりいないのかもしれない。
まぁ、たまに仲間に会えば「危ない地域はどこか?」「食べ物が豊富な地域はどこか?」などさまざまな情報交換をする。
行動するのは主に夜……みんなが寝静まったころに「探検」を始める。
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私は「あれ」が嫌いだ……。
どうしてあれは存在するのだろう……?
「1匹いれば100匹いる」と言われている「あれ」……。
寒い地方にはいないと言われている「あれ」。
……そういえば、「1匹いれば100匹いる」と言った人はどうしてそれが分かったのだろうか……?
とても気になる……。
だが、今、そんなことは関係なかった……。
私がしなければならないことは、さっき見た「あれ」……この存在をどうにかしなければならなかった。
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広い場所に出てきた……。
しかも、僕が苦手な「明るい場所」である……。
(どうしよう……元の場所に戻ろうかな……)
という考えが僕の頭の中に浮かんだ。
しかし……戻ったところで、元の場所にずっといるわけにもいかない。
(前に進まなきゃ!)
僕は勇気を振り絞って足を一歩踏み出した。
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やっぱり「あれ」だった……。
一瞬見えたあの足。
つかんだらもげてしまいそうな、細い足。
一度つかんでみたいとも思うが……やっぱり触るには抵抗がある。
というか、抵抗なく触れる人を見てみたい……。
(もしかしたら、実験をした人は触れるのだろうか?)
そんなことを考えてしまったが、気持ち悪くなったのですぐにやめた。
まずはこの足元すぐそばにいる存在をどうにかせねば……。
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足を一歩出したが……結局、足を引っ込めてしまった。
「怖い」という感情が出てきたこと……それに、さっきから自分いがいの存在をひしひしと感じる。
大体予想はついているが……あまり考えたくない。
なぜかと言うと……単純なことだ。
この予想が当たれば僕に明日はない。
ただそれだけだ。
(どうにかしてこの場をしのぐ方法はないか?)
僕は長い時間考えたが、どうにも浮かばなかった。
そして時間は過ぎてゆく。
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あの細い足が一度消えた。
よく目を凝らしても見つからない。
暗闇と同系色だから見つからないのもしょうがないかもしれないが……。
視力2,0を誇る私としては見えないことがとても悔しい。
(出て来い……その姿、見せるまで私はここを動かないぞ……?)
私は言葉の通じない相手に向かって必死に呼びかけた。
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さっきからずーっとこの場をしのぐ方法を考えていたが、結局何もうかばなかった。
ここから出るべきか、それとも出ないでいるべきか……。
「出ておいで……」
どこからか声がした。
(これはもしかしたら、天の声? 救世主? 神様?)
僕はそう思った。
(救世主(もしかしたら神様)なら僕のことを助けてくれるかもしれない……)
普段、神やその他の存在を信じない僕だが、たまには信じてみることにした。
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「あれ」がいる所から音がした。やっぱり「あれ」はいるようだ。
どうしようか……できれば、叩き潰してやりたい。
が、私は「あれ」に触れない。
もし、触ってしまったら、1時間以上手を洗い続けるかもしれない。
……しかし……放っておくわけにもいかない。
(こういうときこそ、母親を使えば……)
普段、母親に頼らない私だ。
母親は私の言うことを聞いてくれるかもしれない。
「そこから動くなよ……」
私は「あれ」にそう言い残し、母親を呼びにその場を離れた。
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怖い気配が消えた。
すこしあんしんしたが、またいつ来るかは分からない。
しかし、ずっとこの場にいるのも危険度が増す。
動くべきか、動かないでいるべきか……。
耳を澄ますが、救世主(神と呼ぶべきか?)の声は聞こえない。
(結局頼れるのは自分しか居ないのか……。よし……進もう)
僕はそう決心すると、足を踏み出した
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母を説得するのは無理だった。
「こんな真夜中に何?〇〇?一人で始末しなさい」
と軽くあしらわれ……母親はまた眠りについた。
そして、落胆しつつ私がその場に戻ると、「あれ」はいなくなっていた。
(逃げられた……でも……)
相手の足はそう速くない。
そして、あまり遠くには行っていないはずだ。
私でも簡単に追いつけるはず。
私はすぐに「あれ」がいると思われるところを探し始めた。
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あたりで地震が起こっている。かなり大きいようだ。
縦揺れが……1回……2回……3回……4回・・・・・・・・・10回あった。
そのたびに体が揺れるので、じっとしていられない。
僕はどこかじっとしていられそうな場所を探し回り・・・・・・。
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探し始めるとすぐ見つかった。
あいつはリビングのテーブルの下にいた。
(今度こそ・・・・・・)
私は手に持った新聞紙を握り・・・・・「あれ」を叩き潰した。
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急に突風が起き、あたりが暗くなった。
(もしかしたら・・・・・・)
僕が上を見上げると、そこには最悪の事態が起こっていた。
そして僕は全力疾走した。
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叩き潰す瞬間・・・・・・「あれ」の姿を見たために手が滑ってしまった。
風が起こり、「あれ」は逃げた。
久しぶりに見た「あれ」は平べったいが、とても丸々としていた。
(絶対逃がさない・・・・・・)
私は心に誓い、もう一度新聞紙を握り締めた。
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危なかった・・・・・・と思う。
後少しで死ぬところだった。
九死に一生を得たとでも言うのだろうか?
(やはり、救世主(神)はいるのかもしれない)
僕が神に感謝しようとしたとき・・・・・・
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ばさっ!!!!
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「全く・・・・・・こんなのも潰せないんじゃ・・・・・・ダメな子ねぇ・・・・・・」
私が「あれ」を探している最中、母親が起きてきた。
右手には「あれ」を包んであると思われるティッシュが・・・・・・。
「廊下にいたわよ。今度からは自分で解決しなさい? ゴキブリくらい」
母親はゴミ箱にティッシュを捨てながら私にそう言い残し、また寝室に戻った。
fin.
-戻-